DVD観賞 歌劇『愛の妙薬』＠ラ・ヴォーチェ

たとえば
テレビドラマを紹介するとき
ヒューマンドラマとかコメディードラマ・・・のように
内容を大まかにイメージし易いように紹介されることがありますが

それと同じ感覚で
「愛の妙薬」という作品は
”オペラ・ブッファ”というジャンルに入ります
大雑把に紹介すると
”ラブ・コメディーオペラ”です

オペラで笑いを表現するとき
演技力とか顔の表情とかいろいろありますが
今回観賞したDVDは
全ての登場人物の
歌唱力と技術に圧倒されたDVDでした
人間ってこんなことまでできるのか、と、思いました

高度な技術を駆使してその度合いが超えた瞬間
滑稽さが生まれるような・・・
（登場人物たちは命懸けで歌っているのに、不謹慎ですよね・笑）

物語は
とある田舎で美しい娘に片想いの若者が
その気持ちを貫き通して
無事に結ばれるまでのお話です

タイトルになっている「愛の妙薬」は
この薬を飲むことで
どんな恋でも成就させることができる、と、いう
魔法のような薬として登場しますが
でも
ほんとうにこの「愛の妙薬」で真実の愛を
手に入れることができたのかどうか、と、いうことも
このオペラのテーマになっています

若者は、明るくて聡明な美しい娘に
翻弄されながらも娘を愛し続ける、と、いう
ひたむきなキャラクターで
彼はハッピー・エンドに至るまでに
色んなハプニングに巻き込まれます

このハプニングの数々が
笑いをさそう筋書きになっていますが
美しい娘の冷たい仕打ちによる
若者の悩みや苦しみもしっかり表現されていて
笑いと恋愛時の特有の苦悩の両方を
観て、聴いて、楽しむことができるのです

オペラは音楽のことは
その時聴いたものが好きか嫌いか、みたいな一瞬の感覚で
区別されるものなのかもしれませんが
物語の演出は
世代によって、または、ものの見方よって
随分変わるのかもしれないなぁ・・・と思いました

若い世代が
このオペラに登場している若者を見たら
気が弱くて、頼り無いキャラクターに映るかもしれないけれど
色んな経験を経た大人の世代が
同じ彼を見たら
誰かに必要とされることで、男として人間として自信をもって
成長することができる一歩手前の
未熟さを持ったキャラクターとして映るかもしれません

同じように美しい娘のことも
賢く自立した女性に映るかもしれないし
おてんばで、女性特有の軽はずみな危うさをもった
女性として映るのかもしれません

どこにでもありそうな恋の話
誰もが大事な恋を成就させるために
試みてみるエピソードの数々
成就させるまでの心の動き・・・

このオペラを観ていると
大抵の人間が必ず経験したことがあるか
または、これから経験するだろう
痛みや苦しみや嬉しさ、歓びなどが
素朴に表現されているように感じました

この素朴さがとても胸を打たれます
そして
歌唱の美しさ、凄さ・・・
両方楽しめる
おすすめのDVDデス

ドニゼッティ:愛の妙薬 全曲 [DVD]

• 出版社/メーカー: カメラータ東京
• メディア: DVD

今夜は

カレーライス

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